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zoom RSS Haiku in English on Sunday (260) 戦争が廊下の奥に立つてゐた

<<   作成日時 : 2017/08/13 09:48   >>

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日曜日は俳句の紹介と英訳。
暦の上では秋になりました。本来であれば残暑という時期ですが,
仙台は残暑どころか,夏らしい日がほとんどない夏休みです。
梅雨明けしたというけれど,毎日梅雨のような天気です。

間もなく「終戦日」です。俳句の季語としては初秋の季語です。でも,
「戦争」は季語ではありません。今日は戦争を扱った無季俳句です。

戦争が廊下の奥に立つてゐた  渡辺白泉
(せんそうがろうかのおくにたっていた)

渡辺白泉(はくせん)は大正2年(1913年)東京生まれの俳人。
本名,威徳(たけのり)。慶應義塾大学経済学部卒業。
(白泉の句を取り上げるのはおそらく2度目です。)
画像


「馬酔木」や「句と評論」に投稿したのち,京大俳句会に参加。
口語・無季で反戦,社会批判を込めた俳句を多数発表しました。

今日の一句は川名大著「現代俳句 上」(ちくま学芸文庫)より。
初出は「京大俳句」昭和14年5月号。
画像


初めてこの句を読んだとき,廊下に立っている「戦争」とは
召集令状を持ってきた人のことかと一瞬思いました。
でも,それでは廊下の奥ではなく,玄関先なので違いますね。

「廊下の奥」に立っている戦争とは何なのか?
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「戦争の暗い雰囲気は,ふつうの人々が暮らす町にある建物の廊下の奥にまで広がっていました。これを人にたとえて,『廊下の奥に立ってゐた』とうまく言い表しています。」

戦争が廊下に立つはずはないので,もちろんこれは比喩です。
戦争が日常生活にまで忍び込んできたんですね。

時代背景としては,昭和12年に始まった日中戦争は泥沼化。
昭和13年には国家総動員法が制定されました。

そんな昭和14年,渡辺白泉は26歳の時この句を詠みました
この2年後に日本は真珠湾を攻撃,太平洋戦争に突入します。

白泉のこの句にはそんな時代の空気そのものが描かれています。

この句を作った翌年1940年(昭和15年),「京大俳句」弾圧事件で
白泉は連座して検挙されました。

太平洋戦争中は1944年に召集され,横須賀海兵団に入団。
終戦後は静岡県で教員として過ごし,
中央俳壇と深く関わることはほとんどなかったそうです。

沼津市立沼津高等学校在職中の1969年,55歳のとき,
職場のロッカーの中に自筆の句集稿本を残して亡くなりました。


では,英訳してみます。

戦争が廊下の奥に立つてゐた  渡辺白泉

I saw a war
Standing at the end of
The corridor



「戦争というもの」という意味で,あえて不定冠詞の a をつけました。
「廊下」には薄暗いという形容詞を入れようか迷いましたが,
原句を尊重して入れませんでした。


これは昭和14年に作られましたが,
最近の日本やこの国を取り巻く現状はどうでしょう?

そんなことも考えて,今日の句を選んでみました。
1つの句が持つ俳句の力を感じることができます。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます。

 今はもう無くなってしまいましたが、私の生家は庭に面した縁側の廊下の他に納戸の前を通る廊下がありました。子供部屋からトイレに行くにはその薄暗い廊下を通らなければなりませんでした。昼の内はまだうっすらと陽が射し込んでいるのですが、夜になると30Wの裸電球ひとつだけで…、トイレの前の曲がり角からは夜の闇が湧き出ていました。
 この漠然たる不安感や恐怖感の記憶は結構大きくなってもフラッシュバックしまして、高校入試が近づいた時にも頻繁に夢に見ました。
 今回の俳句、その時の記憶を久々に思い出しました。
あきあかね
2017/08/14 08:49
あきあかねさん
こんばんは。夏らしくない天気が続いていますね。幼い頃の思い出,恐怖感,原風景のコメントありがとうございます。
私の恐怖体験は隣の小学校出身の同級生に見せられた修学旅行の写真です。白虎隊のお墓の写真に日の丸の鉢巻をした日本兵が数人写っていました。
今日の俳句は今の世界情勢を考えるとゾッとします。
リアルET
2017/08/14 21:35

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