ガリバーと日本(3) 「ザモスキ」の謎を追え! 後編

ガリバーが日本に来たことは詳しく昨日書きました。
しかし,日本上陸を果たした Xamoschi (ザモスキ)については
前回書いた「横須賀・観音崎」説はあくまでも1つの説です。

「ガリバー旅行記」が出版されたとき,
各篇の冒頭に地図がついていました。

それは,当時有名な地図製作者ハーマン・モル1719年に出版した
「全世界の新しく正確な地図」の一部を模写しつつ作成しました。
画像


第3篇では,日本の東にラピュタなど架空の島が加えられています。
画像


その地図に,Xamoschi(ザモスキ)は登場するのか?
画像


残念ながらザモスキらしき地名はありません。

そもそも,挿入された地図に
作者のスウィフト自身が関与したかどうかはわからないそうです。

やはり,原文に頼るしかないようです。

We landed at a small port town called Xamoschi, situated on the south-east part of Japan; the town lies on the western point where there is a narrow strait, leading northward into a long arm of the sea, upon the north-west part of which, Yedo the metropolis stands.

・ザモスキという日本の南東部の小さな港町に上陸した。
・狭い海峡の西岸にある。
・海峡を北上すると長い入り江がある。
・入り江の北西部に首都の江戸がある。



古くは英語の解説書では下関(シモノセキ)ではないかと
書かれていたようです。

この写真は去年の夏に私が撮った関門海峡(下関側から)。
画像


狭い海峡ということは完璧なのですが
ザモスキ→江戸→長崎の行程を考えると
下関は江戸にはあまりに遠すぎます。

夏目漱石は「文学評論」の中で「ガリバー旅行記」について
こう書いています。
画像


「それで最初上陸した地はクサモシ(Xamoschi)と云う日本の東南の極とあるから、或いは鹿児島のことかも知れない。」

鹿児島(カゴシマ)!
よけい江戸から遠くなりました(笑)。

でも,さすが漱石。
Xamoschi を「ザモスキ」ではなく,「クサモシ」は
新たな読み方の可能性を示してくれます。

確かに

school は「スクール」のように発音しますが
schedule 「スケジュール」は
イギリス人は「シェジュール」と発音する人がいます。
(よくTOEICのリスニングでこの発音が出ます)

schi を「スキ」ではなく「シ」と読む!

Xamoschi の読み方を改めて考えてみると・・・

ザモスキ
ザモシ
クサモスキ
クサモシ
サモスキ
サモシ


などが考えられます。

そして,そもそも「ガリバー旅行記」は風刺文学のために
(イギリスのアイルランドに対する圧力の風刺など)
言葉遊びを用いて地名を換えたりしています。

第3篇に出てくるリンダリーノの反乱。
空飛ぶ島ラピュタに地上のバルビバーニは支配されています。

第2の都市リンダリーノ Lindalinolin が2つ(ダブル)
つまり double lin → Dublin (ダブリン)なのです!

アイルランド・ダブリン生まれのスウィフト。
イギリスの圧力に対抗しているわけです。
(この箇所はスウィフトが生きている間は公開されませんでした。)

そこで,Xamoschi も言葉遊びだとすると・・・
音節で区切ってみます。

Xa- mo-schi (ザ・モ・シ)または(サ・モ・シ)

音節を入れ替えてみます。

Schi-mo-xa  (シ・モ・ザ)または(シ・モ・サ)

mo は「モウ」のように2重母音化するので,何かが見えてきました!

シモーサ!

下総(しもうさ)!


今の千葉県を中心としたところです,
画像


もしかすると,現在の千葉,船橋あたりかもしれません。

下総「しもうさ」は旧仮名では「しもふさ」は7世紀以来
日本の地名として公的に使われ18世紀当時のヨーロッパに
流布していた地図にも度々登場します。
画像


関東地方を拡大してみましょう。
画像


他にも
画像


画像


これは前回紹介した地図の右隅にあった
ウィリアム・アダムズ(三浦按針)が将軍に謁見しているところ。
画像


ガリバーのモデルは三浦按針という説も捨てがたい。

でもそれが Xamoschi が「観音崎」ということにはなりません。
(筆記体で書くと似ているというのが弱いかなあ)

観音崎フェスタのように千葉県もフナッシーに続き
ガリバー上陸の地として宣伝すればいいのになあ。



Xamoschi は「下総」という説が(ラジオによると)
世界的に評価を得ている学説だそうです。




ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 12

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた
面白い
ナイス

この記事へのコメント

2015年04月04日 11:03
シモーサ!いやー、千葉県民にとってはエキサイティングです。ふなっしーの強敵ですね。
2015年04月04日 19:19
こうして推理して行くのは楽しいですね。実に面白いです。
魏志倭人伝のようにロマンがあります(^・^)。
2015年04月04日 21:55
Blue Windさん
こんばんは。ガリバー上陸は千葉か神奈川か!?
邪馬台国にも負けない論争ができそうです。ぜひ千葉も祭りにガリバーを登場させ,盛り上げてほしいものだと,勝手に思っています(笑)。
2015年04月04日 22:03
のぶちゃんさん
自分でも書いていて楽しかったです。漱石も入れたりして。初めはNHKラジオですが,なんでもまずは聞いてみる,読んでみるというのは結果,自分を伸ばしてくれますね。
魏志倭人伝の邪馬台国。原文では邪馬壱国ですが,畿内なのか九州なのか! 岩手の八幡平説なんてのもありますよ! 「はちまんたい」→「やまたい」。さすがにこれは苦しい!
Clare
2017年08月21日 17:04
下総も参加して、邪馬台国みたいに、楽しく論争してほしいです。盛り上がればお互いに地域活性化に繋がりそうですね。
2017年08月21日 20:33
Clareさん
こんばんは。コメントありがとうございます。
お互いの地域が盛り上げていけばいちばんいいですね。ガリバーは今でも有名な物語ですから。でも,日本に来たのを知らない人も多いのかな。

この記事へのトラックバック