Haiku in English on Sunday (162)葉のかたちのトーストいちまい青森にて

日曜日は俳句の紹介と英訳。
トースト(パン)の話を続けてきましたが,次回で終了予定です。
ご飯中心の私ですが,パン食にも興味が出てきました。
トーストの俳句は少ないのですが・・・

葉のかたちのトーストいちまい青森にて  阿部完市
(はのかたちのとーすといちまいあおもりにて)

阿部完市は東京生まれの俳人,精神科医。(1928-2009)
句集「にもつは絵馬」(1973年)より。
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精神科医という特異な背景を持つ俳人です。
1950年より勤務先の病院の俳句グループで句作を始めました。

日野草城の「青玄」をはじめ様々な結社に入会し
1962年,金子兜太氏の「海程」に入会

1970年第17回現代俳句協会賞。1974年より「海程」編集長を務める。
現代俳句協会では1997年から2008年まで副会長を務めました。

精神科医という観点を持つ俳人だからか,作風は独特で
客観写生と言うよりは精神世界を俳句で表現しています。

したがって,意味のとれない(?)句も多くあります。
無意識まで遡っているともお思われます。

「現代俳句 下」という本の言葉を借りれば
・表現に時間性を内在していない
・直感的な表層意識や気分といったものを鋭敏に感受
・言葉優先主義
・言葉の意味よりも,音韻自体に意味を感じ取ろうとしている


私が彼の俳句ではじめて知ったのは

木にのぼりあざやかあざやかアフリカなど

意味がわかりません(笑)。
でも,この人は「アフリカなど」が見えたんです。


それをふまえて,今日の俳句を見てみると
本当に青森に行っているのかまで疑ってしまいます。

文字通り意味をとれば
青森のお店で葉のかたちのトーストが1枚出た
のでしょう。

そこで素朴な疑問。
「葉のかたちのトースト」なるものがあるのか
作者の想像上の精神世界なのか?

それはわからないので,この現実世界ではあるのか検索。
それらしきもの,または「葉のかたちのパン」はあります。
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南フランスにはこんなパンがあるそうです。
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無季俳句です。
季節感を多少なりとも感じさせる語は「葉」です。

イメージとしては,トーストからは「朝」。
「青森」からは「本州最北端」「リンゴ」「三内丸山遺跡」「ねぶた祭」など。

個人的にはこの句を読んだとき
数年前に,ねぶた祭を見に行って泊まった「青森ホテル」の
最上階で食べた朝食を思い出しました。
(葉っぱの形のトーストはなかったと思いますが・・・)


では,英訳してみます。

葉のかたちのトーストいちまい青森にて  阿部完市

A slice of
Leaf-shaped toast
In Aomori



この句の面白さは「葉のかたちのトースト」でしょう。

そのようなものが本当にあるのか!?
青森にはそのような食べ物があるのか!?

いくつか,地名が入った彼の句を紹介します。

栃木にいろいろ雨のたましいもいたり
とんぼ連れて味方あつまる山の国
ねぱーるは益鳥とんでいるくになり
飛騨にいてなつめきれいにきれいに煮え



独特の句風ですね。

最後に,英作文のコツ

「~の形をした」は shaped を使って複合語を作ると表現できます。

「S字の形をした道」は S-shaped road でいいんです。
使えますね。
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この記事へのコメント

うき
2015年09月27日 11:16
葉っぱの形というと、パンよりもお菓子を思い浮かべてしまいます。リーフパイとかリーフクッキー、、、(笑)

リアルET先生のパン記事の数々、パン好きな私はどれも楽しく読ませて頂きました。でも、実は今回一番気になってしまったのは、最後のお写真にあるS字カーブ!!バイクでツーリングしてた時に、苦手だったのがこういう道のスプーンカーブで、下り坂だと緊張のあまり歯を食いしばって走ってたことを思い出しました。難しいカーブは気持ちを張ってるから、案外転けないんですけどね(苦笑)
2015年09月27日 11:47
こんにちは。

 「~の形をした」は、「○○-shaped」を使うとよいのですね。なるほど、これは便利だ、憶えておこうっと。

 で、『葉のかたちのトーストいちまい青森にて』の句ですが、これって、言葉遊び?連想遊び? なのでしょうか。
 私は、葉っぱの形をしたトースト→青々と瑞々しい若葉→若葉の森→青・森と連想が進み、最終的には初夏の山のイメージが浮かんできました。作者はこれを狙っていたのでしょうかね?

 『木にのぼるーー』の句は、テレビで見たアフリカの映像、少し日が傾いたアフリカの草原で、子供たちが群れ遊び、はしっこく木登りしている映像を思い浮かべました。

 ま、この辺までは私もイメージが付いてきたのですが・・・
 『雨のたましい』って何でしょう??
 それが『いろいろ』有るんですか? 栃木に???
 う~ん、よくわからない・・・
 『雨のたましい』???、
 しばらくは頭から離れそうも有りません。
2015年09月27日 21:45
うきさん
こんばんは。パン記事はあと1回にしようと思っています。私はS字カーブといえば日光のいろは坂でしょうか。カーブを曲がるごとにいろはガルタを,バスガイドさんが言っていきます。新人のガイドさんで,「いろはにほへ」までは良かったのですが,「と」で「年寄りの冷水」を「年寄りのれいすい」と言いました。なんかおじいちゃんが冷たい水をおいしそうに飲んでいる姿を思い浮かべました(笑)。
2015年09月27日 22:08
あきあかねさん
こんばんは。岩手の手作り村で「南部曲がり屋」をL-shaped house と英語表記していて,思わず膝を打ちました。
今日の句の葉と青森はリンクしているのかも知れませんね。もう精神世界ですから青森もアフリカも同列かも知れません(笑)。
「木にのぼる」の句を初めてラジオで聞いたときは軽い衝撃がありました。
「雨のたましい」の句は名句といわれています。同じ精神科医で俳人の友人が関西から宇都宮に移住してきたときに,そこを訪れたときに作られた句だそうです。作者は宇都宮で過ごしたときに大粒の雨を聞いたり見たのかも知れません。そこで感じ取ったにが「雨のたましい」なのでしょう。北関東の風土に棲むいろいろのたましいに混じって雨のたましいも見つけたのかな・・・。私はちょっと古代のアニミズム的なものも感じ取りました。

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