「す」のローマ字表記(2) 益川敏英教授
前回,安川電機のローマ字表記 YASKAWA について書きました。
これは仙台にある東北支社の看板。

一方これは偶然見つけた仙台市内の贈り物の店「ナスカワ」。
NASUKAWA と通常のローマ字表記 をしています。

安川電機の YASKAWA のように,「す」SU の U を表記しない例は他にあるのでしょうか。
この例で最初に思い出すのが,2008年にノーベル物理学賞を受賞された益川敏英教授。
報道される中で Toshihide Maskawa と表記されていたので,印象が深かったです。

これはご自身のサイン。やはり Maskawa です。

実は益川氏は英語は得意ではなかったそうです。
でも,英語で論文を発表するときは,名前もローマ字表記しなければなりません。
Wikipedia によると,益川氏は好んで Maskawa を用いたため,国際的にも Maskawa で知られていったそうです。
これは推測ですが,「マスカワ」という名字の発音は Masukawa とそれぞれの母音をはっきり発音する(マ・ス・カ・ワ)よりは,Maskawa と一気に発音する(マス-カワ)の方が近い感じがするからではないでしょうか。
これは「母音の無声化」と呼ばれるものです。
母音の「い」「う」が無声子音にはさまれたときや,文の最後に来たとき,「い」「う」の声帯の振動がなくなり,その母音が聞こえにくくなることが「母音の無声化」です。
日本語ではカ行音・サ行音・タ行音・ハ行音・パ行音の子音が無声子音。
「き・く」「し・す」「ち・つ」「ひ・ふ」「ぴ・ぷ」の後ろに再びカ行音,サ行音,タ行音,ハ行音,パ行音が連続した場合,母音の「い」「う」が聞こえにくくなるのです。
例えば「好き」は「SU・KI」というよりは「SKI」。
「草」は「KU・SA」というよりは「KSA」。
また,文末の「~です」も「DE・SU」ではなく「DES」のように一気に発音されます。
「~ます」も「MA・SU」ではなく「MAS」と発音されますね。
このルールに従えば,「マスカワ」を Maskawa と表記するのは,英語論文では理にかなっていてうなずけます。
最後にコモロ諸島の切手も Maskawa です。

次回にちょっとだけ続く。
これは仙台にある東北支社の看板。

一方これは偶然見つけた仙台市内の贈り物の店「ナスカワ」。
NASUKAWA と通常のローマ字表記 をしています。

安川電機の YASKAWA のように,「す」SU の U を表記しない例は他にあるのでしょうか。
この例で最初に思い出すのが,2008年にノーベル物理学賞を受賞された益川敏英教授。
報道される中で Toshihide Maskawa と表記されていたので,印象が深かったです。

これはご自身のサイン。やはり Maskawa です。

実は益川氏は英語は得意ではなかったそうです。
でも,英語で論文を発表するときは,名前もローマ字表記しなければなりません。
Wikipedia によると,益川氏は好んで Maskawa を用いたため,国際的にも Maskawa で知られていったそうです。
これは推測ですが,「マスカワ」という名字の発音は Masukawa とそれぞれの母音をはっきり発音する(マ・ス・カ・ワ)よりは,Maskawa と一気に発音する(マス-カワ)の方が近い感じがするからではないでしょうか。
これは「母音の無声化」と呼ばれるものです。
母音の「い」「う」が無声子音にはさまれたときや,文の最後に来たとき,「い」「う」の声帯の振動がなくなり,その母音が聞こえにくくなることが「母音の無声化」です。
日本語ではカ行音・サ行音・タ行音・ハ行音・パ行音の子音が無声子音。
「き・く」「し・す」「ち・つ」「ひ・ふ」「ぴ・ぷ」の後ろに再びカ行音,サ行音,タ行音,ハ行音,パ行音が連続した場合,母音の「い」「う」が聞こえにくくなるのです。
例えば「好き」は「SU・KI」というよりは「SKI」。
「草」は「KU・SA」というよりは「KSA」。
また,文末の「~です」も「DE・SU」ではなく「DES」のように一気に発音されます。
「~ます」も「MA・SU」ではなく「MAS」と発音されますね。
このルールに従えば,「マスカワ」を Maskawa と表記するのは,英語論文では理にかなっていてうなずけます。
最後にコモロ諸島の切手も Maskawa です。

次回にちょっとだけ続く。
この記事へのコメント
日本語でも、気取らない普通の会話では母音の無声化は良く起こる事ですが、英語、特にアメリカ英語では頻繁に起きていますね。というか、アメリカ英語の母音の無声化は半ば公式のようです。
反面、イギリス英語、特にロンドンからリバプールにかけての方言では子音「t」の発音が弱くなるか欠落する傾向が見られますね。
戦後の一時期ですが、ヘボン式表記に混じってアメリカ英語表記のローマ字表記をよく見ました。その中に「す」=「s」や、「つ」=「tsu」等が在りました。だいぶ減ってはいましたが、私の中学生時代ぐらいまでは、そうしたアメリカ英語表記のローマ字で書かれた地名や店名の看板を街中で見る事が出来ました。
おはようございます。
返事が遅れてすみません。パソコンもちょっと調子悪いです。
英語式のローマ字看板,ヘボン式とはまた違っておもしろそうです。検索しても見つからないので,見てみたいなあ。
続き,早く書きます・・・。
相変わらずお忙しいご様子ですね。シリーズの続き、気長に待っておりますので、どうぞ気になさらず、落ち着いた時にでも。
英語式のローマ字表記ですが、古い駅名等を調べて見られたらいかがですか? 確か。昭和20年代ぐらいまでは駅名のローマ字表記には英語式のものも相当数あったと思いますよ。駅名のローマ字表記をヘボン式で、となったのは進駐軍の指示でしたので。
こんばんは。
浅草や恵比寿などを検索かけたのですが見つかりませんでした。
んー。ありがとうございました。