「ゆとり世代」などなかった(2) 手をつないでゴール?

前回は「ゆとり世代」という言葉を象徴的に表す出来事,
「円周率を3で教える」ということはなかったことを書きました。

私の職業的経験と個人的な考えから,
「ゆとり世代」などは存在しない,虚像なのです。

それなのに・・・
円周率の他に「ゆとり世代」のイメージを決定づけてしまったものに
運動会の徒競走での「手つなぎゴール」があると思います。

運動会の徒競走とは児童たちが何組かに分かれて
短距離走を競うもの。
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自分も小学生のとき,裸足で走ると実は速いとか,手を素早く振ると
足も速くなるとか,本当かどうかも怪しい情報を取り入れながら,
徒競走に挑んだものです。

最近は小学生向けの徒競走用の靴まで開発されています。

ところがどうも,1990年代の終わりころから,
「最近の小学校では児童を競争させずに手をつないでゴールする」
という話が全国で聞かれるようになりました。

「手つなぎゴール」は本当に存在したか?

私は,こんな徒競走を実際にしたという学校を聞いたことがありません。
実際に見た,という人に出会ったことがありません。

しかもネット社会の現在,そんな画像を見たことがありません
「手つなぎゴール」で画像検索してみてください。

出てくるのはせいぜい,何かのイベントで手をつないでゴールする
「大人の手つなぎゴール」です。

そんな証拠もないうわさ程度のことで,
「ゆとり世代は手をつないでゴールしたんでしょ」
などと言われるのは,気の毒すぎます。

これに真っ向から取り組み,検証したラジオ番組があります。
TBSラジオ「たまむすび」の2016年5月2日放送です。
赤江珠緒さんとカンニング竹山さんが担当した日でした。
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このラジオではこの「手つなぎゴール」が国会でも取り上げられた
ことを挙げて,本当にあったのか検証しました。
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2006年11月22日第165回国会,教育基本法に関する特別委員会で
「悪しき平等主義が日本社会や教育現場に弊害をもたらしている
と思われますが,どう思われますか?」
という内容の質問に対して,
現在の総理大臣が第一次内閣のときのこう答えています。

「よく結果平等の典型的な例として,例えば徒競走をして,最後は全員が手をつないでゴールするということが実際に行われていたということでございますが,人にはそれぞれ得意な分野があって,国語算数は苦手だけれども駆けっこなら負けないという子もいると思います。(中略)悪しき結果平等主義というのは,私はもう間違いであろうと思います。」

M党のある議員。
「よく徒競走の例を出されますが,現場を見られたんでしょうか?」

総理。
「新聞等で読んだ記憶がありますが,
現場でそれを目撃したということではございません。」


文部科学大臣も「新聞で」
官房長官も「話はいろんなところで聞いたことがあります」
内閣府特命担当大臣「順番をつけなかったものは見たことがあります。」

国会の議論においても,だれ一人見ていないのです。
すべて「新聞」か「聞いたことがある」程度。

多くのリスナーからの情報とスタッフの懸命な取材により
わかったことは・・・

古くは1997年2月17日,大手の「〇〇新聞」朝刊で
「教育会で広く読まれている専門誌の最近号で,ある大手企業の会長が人から聞いた話として,これでは日本の将来は危ないと感想を述べている。2人の先生がゴール前で子どもを止め,全員手をつないでゴールインさせた」ということを紹介しています。

この後,いろいろな新聞や雑誌で,
この「手つなぎゴール」があるものとして,取り上げられていきます。

でも,すべて自分で見たという人は一人もいないのです。

また,このラジオ番組ではあるマンガで描かれたことが
人々に印象づけたのではないか,ということです。

2002年のK氏のマンガ「・・・宣言」(12巻目)でこのシーンが
描かれています。下手な絵ですみませんが,こんな感じです。
画像


このような新聞や雑誌,マンガによって人々に刷り込まれていった
と考えられます。

そして,それが前述の国会答弁にまでつながっていくのです。
(でも,だれ一人見た人はいない・・・)

結論としては,かつて日本中にうわさとして広がった「口裂け女」と
同じように広がった一種の都市伝説のようです。

もちろん,そういうゴールをさせた先生や学校がかつて1つや2つ
あったのかもしれません。

でも,それはいわゆる「ゆとり世代」とはまったく関係ないことなのです。

そのようにして作り上げられていった「ゆとり世代」は虚像であり,
それ以前,それ以後の人間となんら変わりはないと私は思います。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
今日の書き換え問題。中級問題。(H24仙台市内共学私立高)

Hikari doesn't run as fast as Wakana. 

→ Hikari runs (  ) than Wakana.



ヒント
「ヒカリはワカナほど速く走らない。」
→「ヒカリはワカナより(  )走る。」


別の表現を用いるパターン。
結局,ヒカリのほうが「遅い」んですね。



正解は 
Hikari runs ( slower ) than Wakana.
「ヒカリはワカナより(遅く)走る。」

この slow は動詞の後で使われ副詞です。


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自分のこと
人はくくられることを好まないと思います。
だれもが個人で判断してほしいのではないでしょうか。
平等とは一緒にゴールすることではなく,
だれもがスタート地点に立てることだと思うのですが。




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この記事へのコメント

2017年10月07日 08:36
おはようございます。

まったく同感です。
良い記事をありがとうございました。
2017年10月07日 23:04
あきあかねさん
ありがとうございます!
当時,極度の平等主義に頭を支配された学校か校長(学園長)がどこかにいたのかもしれません。でも,それと「世代」は全く関係のないことです。

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