ポール・オースターと村上春樹 ~「嘘のような本当の話」について~

最近,新潮文庫から新刊が出たことで,アメリカの作家,ポール・オースターに興味を持ちました。

ブルックリン・フォリーズ (新潮文庫) - ポール・オースター, 柴田 元幸
ブルックリン・フォリーズ (新潮文庫) - ポール・オースター, 柴田 元幸

現在平日は忙しく,長編はなかなか読めないので,いろいろ調べてみるとエッセイ集「トゥルー・ストーリーズ」の中の「赤いノートブック」というエッセイが名作らしい。

トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫) - ポール オースター, Auster,Paul, 元幸, 柴田
トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫) - ポール オースター, Auster,Paul, 元幸, 柴田

こう聞くと,いてもたってもいられなくなるのが私の性格で,書店を探してもこの文庫本はどこにも見当たりません。
ネットでも定価以上の価格で売買されています。

ということで,市立図書館に予約していたら,一昨日の土曜日に近くの図書館に届きましたというメールが来ました!

また,この日は村上春樹氏の新刊短編集「一人称単数」の発売日。
仕事場から書店と図書館へ直行です!

左がポール・オースター著「トゥルー・ストーリーズ」,右が村上春樹著「一人称単数」。
村上氏の本の表紙にしては珍しい感じ。新機軸か?

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まずは名作の誉れ高いというオースターのエッセイ「赤いノートブック」

そこに描かれているのは,筆者または彼に近い人々が体験した「奇跡」と言っていいほどの「偶然」の出来事
一言で言えば「嘘のような本当の話」

私が一番好きなのはチェコ人の女性の話。
彼女は幼いころに父親がドイツ軍に強制徴用され,ソ連の前線に送り込まれてから生死もわからなくなりました。
そして彼女は大人になるのですが・・・。

また,筆者が子どものころ,近所の女の子を悲惨な交通事故に遭うところを間一髪で助け,自分は「命の恩人」だと思っていたのだが・・・という話も好きです。

筆者の言葉を借りれば(訳文だけど),すべて「実際にあった出来事」。
「偶然」がもたらす人生の奥深さの前に,ただただ驚くばかりです。

一方,こちらが村上氏の新刊短編集。
「文学界」に掲載されたものが7編,書下ろしが1編。

一人称単数 (文春e-book) - 村上 春樹
一人称単数 (文春e-book) - 村上 春樹

今の時点で無作為に8編中3つの短編を読みました。
これは作者本人を思わせる一人称が語り手となる短編集です。

その中で「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」という短編があり,ある奇跡的な再開が描かれます。

語り手は筆者本人とまったく同じ経歴を持っており,どこまでが事実,どこまでがフィクションかはわかりませんが,この短編は本当の出来事なのではないかと思わせます。

ちゃっかり,表紙にもビートルズのアルバム「ウィズ・ザ・ビートルズ」のLPジャケットが描かれています(笑)。

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ポール・オースターと村上さんの文章が醸し出すテイストが似ていると感じたのは,オースターの文を訳しているのが村上氏と共作もある柴田元幸氏だからでしょうか。

まあ,東西の一流の作家が「偶然」「嘘のような本当の話」を扱ったら似てきてもおかしくはありません。


最後に,市立図書館からはこんな本も借りました。
「ポール・オースターが朗読するナショナル・ストーリー・プロジェクト」
(右側の新潮文庫は私が買ったもの)

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これはポール・オースターがホストを務めたアメリカの公共ラジオ放送NPRで,ラジオ番組「National Story Project」に寄せられた実話の投稿を集めたものです。

全話は180あるそうですが,そちらは新潮文庫に収録されています。
監訳者の柴田元幸氏が18編を選び,原文と日本語訳,そしてオースター本人朗読のCDがついてます!

「実話」というところが魅力的です。

私たちは小説の世界で作家の空想の世界を楽しみますが,実話もまた心惹かれます。

まあ,読み切るのには時間がかかりそうですが。


最後に,私には嘘のような本当の話がないのかと言われれば・・・

昔,東京ディズニーランドの園内での話。
トイレに入ろうとした私は,中から出てきた人を見てびっくり。
それは「私」だったのです。


私風の顔で,着ているものが上下まったく同じだったのです!
(同じメーカーの同じ色のシャツに,ズボンのチェック柄まで同じ)

驚いたのはもちろんですが,ちょっと怖くなりました。(おそらく相手も)

また,こんなことを2年前に書いたことがあります。

→ It's a small world!


あと,もう一つ。

私は生涯に3回,財布を落としています。そして3回戻ってきています。
このことはいつか書こうかなと思っています。






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